今回は、企業年金運用における生保一般勘定の位置づけを確認してみます。
資産構成割合の推移(確定給付企業年金)(%)

上のグラフは、確定給付企業年金の資産構成割合の推移を見たものです。
一般勘定を表している水色の部分に注目してみましょう。
2003 年度に 8.5%であった生保一般勘定の割合は、2019 年度には17.9%まで拡大しました。
その後は、予定利率引き下げの影響もあってか少しずつ減少していますが、それでも2024 年度末で 15.4%の割合を占めています。
生保一般勘定は、企業年金運用において依然として大きな役割を果たしていると言えるでしょう。
企業年金運用における受託機関別シェアの推移(%)

(出所)企業年金連合会「企業年金実態調査結果(2024年度概要版)」
上のグラフは企業年金運用における受託機関シェアの推移を示したものです。
1990 年代前半には 40%を超えていた生命保険会社のシェアは、1994 年の一般勘定の予定利率引下げを契機に徐々に低下傾向を示し、2005 年には 13.6%まで落ち込みました。
しかし、その後、前記した資産構成割合における一般勘定占率の上昇と並行してシェアも上昇し、ピークの2019 年度には 27.3%と投資顧問会社(27.2%)とほぼ同水準まで増加しています。
この間は企業年金運用における生保一般勘定の重要性が増した時期と言えるでしょう。
その後は予定利率引き下げの影響もあって若干減少していますが、それでも2024年度末で25%のシェアを占めています。
ここまでの情報をまとめると、
①長きにわたった超低金利下で、生保一般勘定は「利回りを確実に期待できる唯一の資産」として、年金資産運用における重要性を高めシェアも増大させてきた。
②しかし、大手生保による予定利率引き下げ・商品性見直しと、金利上昇への転換があいまったことにより、シェアは横ばいもしくはわずかに低下傾向にある。
と言えます。
では、今後はどうなるのでしょうか?
企業年金は今後も生保一般勘定を増やすのでしょうか、あるいは金利上昇によりスタンスを変更して一般勘定を減らすのでしょうか?
この点に関する公開情報としてJPモルガン・アセット・マネジメントが継続的に実施している「企業年金運用動向調査」を確認してみましょう。
資産クラス別:今後配分を増加/減少させると回答したDB年金の割合

上のグラフをみると、DB年金の9.3%が生保一般勘定を増加させると回答しており、一方で減少させるとしたDB年金は2.7%にすぎません。
また、国内債券については配分を減少させる意向のDB年金の方が、配分を増加させるとしたDB年金よりも割合が多くなっています。
可能性としては「さらなる金利上昇リスクを意識しているDB年金は、依然として国内債券よりも一般勘定を選好している」のではないかと考えます。
結局、「金利が上昇傾向にある中でも、生保一般勘定の年金資産としての魅力はまだまだ維持できている」と言えそうです。