企業年金にとっては、生保一般勘定は年金資産の一部を構成することになりますが、生保会社にとっては、団体年金保険契約として負債の一部を構成することになります。
また、その残高は決算時に責任準備金 として貸借対照表の負債の部に計上されます。
したがって、企業年金が生保一般勘定という資産を増加させれば、生命保険会社の団年一般勘定の責任準備金が増加することになります。
逆に企業年金が生保一般勘定を解約すれば、団年一般勘定の責任準備金は減少します。
すなわち、責任準備金残高の変動から、企業年金からの受託が増加しているのか減少しているのかを、ある程度推測できると言えます。
団体年金一般勘定の責任準備金残高は、生保各社のアニュアルレポートで公表されています。
この7月に各社から2026年度のアニュアルレポートが公表されていますので、責任準備金残高の推移を集計してみました。
主要生保会社の年度末責任準備金推移(団年一般勘定)

上の表は団体年金の保有契約が多い主要生保会社について、団体年金責任準備金(一般勘定)の年度末残高推移をみたものです。
なお、対前年で1%以上のマイナスを記録した箇所を黄色でマークしました。
また、特に注目される明治安田生命の2025年度の伸び率をピンクでマークしてあります。
さて、上の表で最も目立つのは、明治安田生命の2025年度の伸び率で、対前年度で6.2%も増加しています。
2025年度は大幅な受託拡大があったものと思われますが、その要因として考えられるのは「2025年4月実施の商品性見直し」です。
商品性見直しのプレスリリースがあった際にこのサイトでも取り上げましたが、明治安田生命の見直し内容は革新的なもので、企業年金顧客にとってもメリットの大きなものと言えます。
2025年度の責任準備金が大きく増加したのは、「新スキームの商品が企業年金顧客に広く受け入れられた」ためと言えるでしょう。
次に、上の表でマイナスが大きな箇所を見てみましょう。
マイナスが最も大きいのは、第一生命の2021年度で前年度末から8.9%も責任準備金が減少しています。
2021年10月に実施した予定利率の大幅な引下げ(1.25%から0.25%に引下げ)により、顧客からの解約等が増加したものと推測されます。
なお、第一生命における責任準備金の減少傾向はその後も継続していて、2025年度は2.8%の減少となっています。
保有残高が最も大きい日本生命の責任準備金は拡大を続けていましたが、2023年度から減少傾向に転じています。
要因として考えられるのは、2023年4月に実施した予定利率引下げ(1.25%から0.50%に引下げ)です。
第一生命よりは高い予定利率を採用したためか、減少幅は第一生命ほどではありません。
それでも0.5%という予定利率水準では、一部の企業年金は投資を見直さざるを得なかったものと思われます。
なお、日本生命は2026年4月から商品性を見直し、明治安田生命類似の3階建てスキームを採用します。
新スキーム採用が受託残高にどのように影響するかが注目されます。