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年金ガバナンス⑥ ~ CPPIBの例(続き)

OECD の年金ガバナンスガイドラインの第 4 項では、「適合性(Suitability)」に関する要件が示されています。
具体的には、ガイドライン本文において、以下の要件が提示されています。

「年金基金のガバナンスに関する高い次元の誠実さ・能力・経験ならびに専門職業意識を担保するために、統治機関のメンバーは最低限の適合性(あるいは非適合性)基準に従うべきである。」
「統治機関全体としては、年金基金のすべての機能を監督する(いくつかの機能が外部機関やアドバイザーに委託されている場合はそれらの者を監視する)ために必要なスキルと知識を有するべきである。」

下の表は、CPPIBのアニュアルレポートにおいて理事会メンバーの適合性を示した資料です。

(出所)CPP Investments F2022 Annual Report

CPPIBの理事会メンバーの経験と専門性をこの表で見ると、それぞれのメンバー間では経験や専門性の相違があります。
しかし、理事会全体では CPPIB の監督に必要な知識とスキルが揃っていることが分かります。

わが国の年金基金で CPPIB のような「監督と執行の分離」を図ったガバナンス体制の例としては、GPIF(年金積立金管理運用法人)が挙げられます。
下の図に示したように、2017年10月からは、新たに設置された経営委員会が監督機能を担う仕組みとなっています。

GPIFにおけるガバナンス体制の見直し

(出所)「第1回社会保障審議会年金部会 資料」(2018 年4 月4 日)