今日から当分の間は、年金ガバナンスに関する記事を書いてみようと思います。
初回なので「そもそもガバナンスとは何を意味するのか?」を考えてみます。
ガバナンスという用語は、かなり広い意味で使用されています。
また、使われる文脈で意味が微妙に異なる場合もあります。
そのため、改めて「その正確な定義は?」と訊かれても、直ぐに回答するのは難しいですね。
例えば、ガバナンスという言葉が含まれている用語をいくつか挙げてみますと、「コーポレ ートガバナンス」「グローバルガバナンス」「IT ガバナンス」「環境ガバナンス」「パブリックガバナンス」等があります。
上の表はこれらの用語の定義例を示したものです。
これらから共通の要素をあえて括りだすと、「ガバナンス」とは「様々な利害関係者が存在する社会や組織を適切に運営するための仕組み」となると言えるでしょう。
松田千恵子さんの『これならわかるコーポレートガバナンスの教科書』によると、「ガバナンス」という言葉は、元々はラテン語の「船の舵を取る」から来ているそうです。
ただし、似たような言葉である「ガバメント」が「王権や政治などが決定・命令する上意下達的・他律的なシステム」を指すのに対して、「ガバナンス」は「関係者が参加して色々と協議をし、自律的な合意形成を行っていくシステム」という意味合いがあるとのことです。
したがって、例えばコーポレートガバナンスは、「株主の言うことを聞け」と言う上意下達的な支配を指すのではなく、「企業の舵取りをどうするかを関係者の間で色々と考える」というのが本来の意味だと言えます。
ただし、企業の舵取りは経営者が担っているのが通常なので、「経営者が船の方向性を定めるうえで的確な意思決定をしているかを見定めたり、舵を放り出して怠けていないか規律づけたりするのが、コーポレートガバナンスにおける関係者の役割」ということになります。