日本生命と第一生命は、生保一般勘定の予定利率を引下げると同時に新規の引き受けを開始しました。
これまで生保一般勘定へ新規投資することは困難でしたので、企業年金にとっては魅力的な投資先が一つ増えたことになると思います。
しかし、生保一般勘定に投資する際には留意点もあります。
それは生保会社が破綻するリスクです。
生保会社の破綻時には、特別勘定の責任準備金については全額が保護される仕組みがあると言えますが、一般勘定の責任準備金が 100%保護されるとは限りません。
個人保険の顧客も企業年金の顧客も責任準備金が削減される可能性があります。
実際、過去の生保会社の破綻の事例を振返ると、8 度の破綻のうち 6 度は責任準備金が削減されています。
新規に投資する際には、その会社の健全性を確認することが大事だと言えます。
生保会社の過去の破綻事例
生保会社の健全性を確認するための指標としては、現在はソルベンシー・マージン比率と実質純資産があります。
ここでは、ソルベンシーマージン比率について簡単にご説明してみます。
なお、前にも書いたように保険会社向けのソルベンシー規制は2025年から見直される予定です。
以下は現行規制についての説明になります。
ソルベンシー(solvency)とは「支払能力」という意味であり、マージン(margin)とは「余力」という意味です。
したがって、ソルベンシー・マージン比率とは、「生保会社の経営上のリスクが顕在化した時に、活用できる会社の余裕がどの程度あるか」を測定する指標となります。
ソルベンシ-・マージン比率の算出方法
上の式にあるように。ソルベンシー・マージン比率は、会社のリスク量の 1/2 を分母とし、マージン相当額を分子として算出します。
分母に 1/2 を掛けますので、リスク量とマ-ジンの金額が一致している場合にはソルベンシー・マージン比率は 200%となります。
つまり、健全性の目安は200%であり、生保会社のソルベンシー・マージン比率がこれを下回ると、金融庁から改善計画の提出などの早期是正措置を求められることになります。
生保会社のソルベンシーマージン比率の状況は決算資料で確認できます。
11月には今年度の9月末の状況が開示されると思われますので、各社の健全性の状況を確認してみたいと考えています。