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GPIFの3期連続赤字 ~ 年金財政にはほとんど影響がない

昨日、GPIFが2022年度第2四半期の運用状況を公表しました。
第2四半期の収益率はマイナス0.88%、収益額はマイナス1兆7,220億円です。
3期連続の赤字ということで、大きく報道されています。

(出所)日本経済新聞HP

3期連続でマイナスが続いた訳ですが、その合計を計算してみると、収益率はマイナス3.87%、収益額はマイナス7超6,752億円となります。

気になるのは年金財政への影響ですね。
「これだけ大きなマイナスが出たら、将来の年金給付に影響がでるのでは?」と懸念される人もいると思います。

実際、日経の記事でも「GPIFは国民が保険料として預けたお金の一部を運用し、将来の給付に備える。運用の赤字が続けば長期の年金財政に悪い影響が出かねない。」とコメントされています。

しかし、実際にはGPIFの運用で大きなマイナスが出たとしても、公的年金財政に与える影響はごくわずかです。

(出所)厚生労働省HP「2019年財政検証関連資料

上の図は、公的年金の財源の内訳を見たもので、2019年の財政検証結果に基づき作成されたものです。

わが国の公的年金は賦課方式で運営されていますので、主たる財源は将来の保険料収入になります。
また、基礎年金給付の1/2は国庫負担金で賄われています。
積立金の財源全体に占める割合は、平均的には10%に満たない程度です。

つまり、仮に積立金の10%が毀損したとしても、公的年金全体の財源に対する影響は1%程度にしか過ぎません。

しかも、積立金の活用は概ね100年間に亘って少しずつ取崩されることになっています。
短期的に資産運用で大きなマイナスが出ても、翌年の給付に支障をきたすことはありません。

GPIFの資金は、超長期での運用が可能という特質を持っています。
その特質を生かすには、「短期的にはマイナスが出るかもしれないが、長期的に大きなリターンが期待できる資産」、すなわち(ハイリスクハイリターンの)リスク性資産を活用することが適切だと言えます。

現在は、株式の比率は内外合計で50%ですが、私自身は「もっと株の割合を高めても良いのでは?」と考えています。