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生保会社の2023年上期決算状況② ~ 基礎利益は改善

生保会社の2023年上期決算概要の2回目です。
今回は収益性指標である基礎利益の状況を確認してみます。

大手生保(4社)の基礎利益の状況(億円)

(注)保険関係益とは費差益と危険差益(死差益)の合計である。
(出所)各社の公表資料より作成

上の図表は大手生保(4社)の基礎利益の状況を表したものです。

ご覧のように、全社で基礎利益が2022年上期よりも増加していることが分かります。
また、基礎利益の内訳をみると各社とも保険関係益の増加幅が大きく、一方で利差益は減少しています。

保険関係益が増加した要因は、言うまでもなく「新型コロナウイルス感染症関連の給付金等支払いの減少」です。
2021年度は新型コロナ関連の給付金支払が激増し、保険関係益が前年度よりも大幅に減少しました。
コロナ禍がほぼ収束した今年度は、その反動で危険差益が大幅に改善しています。

利差益については、各社共通で「内外金利差の拡大によるヘッジコストの増加」が減少要因となりました。

中堅生保(5社)の基礎利益の状況(億円)

(出所)各社の公表資料より作成

上の図表は中堅生保(5社)の基礎利益の状況を表したものです。
大手生保と同じように、保険関係益が増加し利差益が減少するという傾向がみられます。

なお、大樹生命と大同生命は基礎利益が減少していますが、ヘッジコスト増による利差益減少の方が、給付金支払いの減少による危険差益増加を上回ったためと思われます 。