カテゴリー
オピニオン

生保会社の2022年度決算状況② ~ 基礎利益は激減

生保会社の2022年度決算概要の2回目です。
今回は収益性指標である基礎利益の状況を確認してみます。

大手生保(4社)の基礎利益の状況(億円)

(注1)保険関係益とは費差益と危険差益(死差益)の合計である。
(注2)2022 年度より基礎利益の算定方法について、「為替に係るヘッジコストを含め、投資信託の解約損益、有価証券償還損益のうち為替変動部分および再保険に関する損益を除外する」よう改正された。上の図表では、2021年度・2022年度とも新基準で算定した基礎利益の額を表示している。
(出所)各社の公表資料より作成

上の図表は大手生保(4社)の基礎利益の状況を表したものです。

ご覧のように、全社で基礎利益が2021年度よりも大幅に減少していることが分かります。
また、基礎利益の内訳をみると各社とも保険関係益の減少幅が大きく、利差益については、日本・第一が減少し、明治安田・住友が増加しています。

保険関係益の減少は、各社とも「新型コロナウイルス感染症関連の保険金等の支払増」がその主要因です。
例えば、日本生命の決算説明資料によると、日本生命グループ全体でコロナ関連の入院給付金の支払いは、2021年度の227億円が2022年度は1812億円まで増加しています。
他社も同様の傾向にあります。

利差益については、各社共通で「内外金利差の拡大によるヘッジコストの増加」が減少要因となりました。
なお、明治安田生命の場合は、ヘッジコストの増加はあったものの、「オープン外債の積み増し等により、外国公社債の利息及び配当金等収入が増加した」ことにより、利差益が対前年度で増加したとのことです。

中堅生保(5社)の基礎利益の状況(億円)

(出所)各社の公表資料より作成

上の図表は中堅生保(5社)の基礎利益の状況を表したものです。

大手生保と同じように、全社で基礎利益が大きく減少しています。
また、その主要因も大手生保と同じで、「新型コロナ関連の支払い」および「ヘッジコストの増加」となっています。