事業費については、各資産区分(および商品区分)に配賦処理をすることになります。
なお、ここまで「商品区分」についての説明をしたことが無かったので、ここで補足します。
1996年に区分経理を開始した時点で(今でもそうですが)、最も資産額の大きなファンド(資産区分)は、一般ファンドでした。
一般ファンドは一つの資産区分ですから合同で運用をします。
しかし、一般ファンド内には、個人保険・個人年金、団体保険、その他(財形など)の複数の商品種類が含まれていました。
そのため、これらの商品種類については、「資産運用は合同で行うが、損益は商品種類に分けてみること」を(当時の大蔵省から)義務付けられました。
なお、資産区分はファンド、商品区分はセグメントとも呼んでいます。
ファンドは資産(B/S)を分ける単位、セグメントは損益(P/L)を分ける単位ということになります。
区分経理開始時点の資産区分(ファンド)と商品区分(セグメント)(例)
事業費や税金の配賦処理については、区分経理導入前から「商品別の採算性分析」等のために行っていました。
これはどこの生保でも行っているはずだと思います。
基本的には、
①営業職員給与などは成績や契約高等を基準に配賦
②内勤職員等の給与は業務量、もしくはそれを代替する変数(契約件数)等の比例で配賦
③物件費等もその費目ごとに何らかの基準を設けて配賦
といった処理を行っています。
いわゆる「コスト毎に適切なドライバーを設定して配賦」が基本的な考え方です。
例えば、事務に関連する人件費等は、商品ごとの事務量を基準に配賦しますので、個人保険に関連するコストをさらに商品種類別(養老・終身・定期、医療・・等)把握するためには、事務処理件数等を詳細に把握したり事務種類ごとの処理時間(標準処理時間)等を把握することも必要です。
しかし、区分経理で設定された資産区分や商品区分の単位では、そこまで詳細なコスト分析は必要ありません。
そのためコストの配賦基準等は、区分経理に関しては大きな問題にはなりませんでした。
後はコスト配賦処理の頻度が課題になりますが、区分経理開始時点では月に1回としました。
今は、もっときめ細かく配賦処理をしているだろうと思います。