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コラム

生保営業職員による金銭詐取問題④

今回は、2月17日に生保協会から公表されたレポートについて、その内容を確認してみたいと思います。

このレポートでは、生保各社が営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理態勢の更なる高度化を図るにあたっての考え方や取組例等を、「営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理態勢の更なる高度化にかかる着眼点」としてまとめています。
着眼点の構成およびその概要は以下の通りです。

(出所)生保協会によるレポートから作成

上の表で分かるように、着眼点としてまとめられた内容の殆どは、すでに生保会社が(形式的には)取り組んでいる事項です。
経営管理のための常識的・基本的な内容が記述されていて、目新しさは殆どありません。

ただし、以下のような踏み込んだ記述がなされていることは注目されます。

①「コンプライアンス部門・監査部門の独立性」について
着眼点1-(4)の「三線管理態勢の構築」および着眼点6の「監査」において、「コンプライアンス部門・監査部門の独立性が重要である」ことを強調する記述が、下表のようになされています。

②「営業成績等の優秀な営業職員の特別扱い」について
着眼点3-(4)の「営業職員の活動管理」において、「営業成績等の優秀な営業職員に対する優遇措置や特別扱い」に関する記述が、以下のようになされています。

前回に述べたように、私はこの問題の根本原因は「営業成績偏重の経営姿勢」にあると考えています。
生保協会のレポートは、その点への言及がないので物足りなく感じます。

それでも、「上の枠内で太字で引用した部分が徹底されれば、生保営業職員の金銭詐取などを抑制する効果があるのでは」とも考えています。
今後、「生保各社の経営行動にどの程度まで反映されるか」を注目したいと思います。