私ごとになりますが、今年の1月に膀胱癌がみつかりました。
すでに膀胱を全摘出する手術も終えており、今後は再発に注意することが主たる課題になっています。
このサイトをご覧になっている方の中には、私の会社員時代の同僚や部下の方も結構おられるようです。
なかなかお会いする機会もありませんので、その方たちへの報告の積りで、今回は膀胱癌の治療経過について書いてみようと思います。
①最初に異変を感じたのは去年の12月ごろです。
排尿の際に軽い痛みあるいは灼熱感を感じるようになりました。
それ以前から頻尿気味ではありましたが「年のせいだろう」とまったく気にしていませんでした。
また、人間ドックも毎年受診していましが、尿検査でひっかかるということも一度もありませんでした。
なので、排尿の際の痛みについても「どこかで炎症が起きているのだろう」と考えて泌尿器科に行ったところ、何度かの検査の結果「膀胱癌」と判明した次第です。
「今のところ転移はないが、完治のためには膀胱全摘が必要」という診断でした。
②この診断結果には驚きました。
というのも、会社員時代に親しくしていた先輩(Tさん)が、一昨年に膀胱癌で亡くなっていたからです。
「(机を並べていた)Tさんが膀胱癌になった以上、僕が膀胱癌になることは確率的にあり得ないだろう」と考えていましたので、本当に驚きました。
ただ、Tさんも私もずうっと煙草を吸っていましたので、冷静に考えるとそれが良くなかったということだと思います。
③その後、抗癌剤治療(2クール)を経て、5/14に膀胱全摘手術を受けました。
私の場合、血管の癒着がひどかったようで、手術時間も長くなりました。
朝の9時に開始して終了が夜中の2時です。
約17時間もかかったことになりますが、丁寧な手術をしてくださった医療スタッフの皆さんには感謝しています。
手術後の1週間ぐらいは辛かったですが、その後は順調に回復して約3週間後の6/2に退院しました。
④手術の結果、いわゆるオストメイト(人工膀胱がお腹にある)になりました
パウチの定期的な交換などの負荷もありますが、今はそれにも慣れました。
特に苦になることはありません。
生活全体であまり不自由なことはないですし、外見上もそれとはわかりません。
むしろ「頻尿とか夜中に排尿のために起きる」とかの問題からは完全に解放されたので、楽になったこともあります。
⑤今後の注意点は再発です。
私の癌の場合、今のところは転移がないので(ステージ2)、5年生存率は75%程度と言われています。
膀胱に発生した癌は手術でとってしまったので、再発さえ起らなければまだしばらくは生きられそうです。
今後は再発防止のために「オプジーボ(本庶先生の発明)による術後治療」を受ける予定です。
後は定期的に検査を受けることになります。
オストメイトになった今の生活も、癌が見つかる前とあまり変わりません。
さすがに煙草は止めましたが、お酒も食事も前と同じように毎日楽しんでいます。
また、顧問先の仕事も普通に行っています。
ただ、手術の後遺症なのか、最近は原因不明のじんましんに悩まされています。
また、手術のストレスのためか、部分的な円形脱毛症が出ています(そのため髪は6mmの丸刈りにしています。床屋からは「1年ぐらいで(髪が生えてきて)元に戻るでしょう」と言われています)。
やっぱり、心身ともに完全に回復するには、1年ぐらいはかかるのかもしれませんね。
最後に今回の経験から、自分の後輩達へのアドバイスを2点書いておきます。
(1)人間ドックの結果だけでは安心できない。
中年以降の方の場合、人間ドック(または職場での定期健康診断)を定期的に受診していると思います。
その結果で癌の可能性を指摘されなければ、「とりあえずひと安心」という気持ちになりますね。
私もそうでした。
しかし、膀胱癌は人間ドックや健康診断では発見されない可能性があります。
膀胱癌の兆候を表すものとして血尿がありますが、私の場合、人間ドックの尿検査で血液が検出されたことは一度もありません。
また、膀胱癌を発見するには超音波検査が有効ですが、一般的な人間ドックのメニューには含まれていません(腹部超音波検査があっても膀胱は検査の対象外のことが殆どです)。
(2)頻尿に注意
中年以上の男性であれば、徐々に頻尿気味になる方も多いと思います。
私も、特に60歳ごろから頻尿気味を自覚していましたが、「年のせいだろう」と全く気にしていませんでした。
しかし、今になって考えると、あれも膀胱癌の兆候だったのですね。
特に、煙草を吸う人で頻尿気味の方は、一度、泌尿器科で検査を受けることをお勧めします。