先週の木曜日(5/9)に日経新聞が「日本生命、企業年金利回り上げ 配当率高め1.35%に」という刺激的なタイトルの記事を配信しました。
「やっぱりそう来たか」と思いながら読んでみたところ、短い記事でありながら実に情報量が豊富で感心しました。
この記事には、生保一般勘定の利回りに関して、新鮮な情報がたくさん含まれています。
ポイントを箇条書にしてみましょう。
①日本生命保険は、団体年金保険で配当を含めた利回りを1.20%から1.35%に引き上げる。
23年度の配当率を0.85%とし、22年度の0.70%から引き上げる。
予定利率は0.50%に据え置くが、配当を含む利回りは1.20%から1.35%に高まることになる。
②日本生命は、予定利率を実質的に上げた明治安田生命保険に追随する形になる。
金利の先高観が強まるなか、生保の主力製品である団体年金で利回りを上げる動きが広がりそうだ。
③住友生命保険は26年3月末まで現状の予定利率の水準(1.25%)を維持することを決めた。
④これまでも一定の予定利率(1.3%)を維持してきた富国生命保険は、配当込み利回りを1.6%から1.8%に高める方針だ。
⑤大手以外でも利回りを引き上げる動きが広がる可能性がある。
ここで昨年までの予定利率と配当率を再確認してみましょう。
生保一般勘定の「予定利率+配当率」推移(解約控除型)
日経の記事によると、上の表に掲載した5社のうち、第一生命を除く各社で「2023年度決算に基づく(予定利率+配当率)が1.25%以上になることが確定的」なようです。
しかも、日経の記事が正確だとすれば、「明治安田生命・住友生命・富国生命は、2024年度・2025年度も予定利率が1.25%を超える」ことになります。
(明治安田生命が商品改定を行うのは、2025年4月からです。2024年度は1.25%の予定利率が保証されています。)
それに対して、日本生命は2023年度の配当として0.85%を上乗せするというもです。
すなわち、2024年度に保証されているのは、あくまで予定利率の0.5%です。
同様に、第一生命で2024年度に保証されている水準は、予定利率の0.25%です。
今後の企業年金顧客の反応が注目されますね。
また、1社だけ取り残された感がある第一生命が、2023年度決算でどのような配当還元を行うのかも注目されます。
生保会社の2023年度決算結果と配当率は、今月の末には公表されるはずです。
それらの情報が出揃ったら、またこのHPでお伝えしたいと考えています。